【実走レポ】夢のモンゴルライドへ。涙が出るほどの絶景を堪能してきた

最高だった

何にでもすぐに「最高」と言ってしまうタチの人間なのだが、今回の旅も紛れもなく「最高」であった。景色も、人も、街並みも、なにもかも。

なにせ、ずーっと憧れを抱いていたモンゴルの大地を自転車で駆け回ってこれたのだから! 11日間という短い時間ではあったが、どれだけお金を積んでも得られないような、濃密な経験ができたと個人的には思っている。

旅の概要

  • 日程:2024年8月21日(水)~31日(土)
  • かかった費用:15万円くらい
  • 滞在した街:ウランバートル、マンダルゴビ、ブルド

メモ:この旅はMAMMUT様からのサポートを受けて実現した。心の底から感謝である!!

11日間、モンゴルに滞在した。正直、ぜんっぜん足りなかった。巨大なモンゴルを自転車で味わい尽くすには、最低でも2週間は欲しいところ。3週間あればベストだ。

とはいえ、10日間ほどでもモンゴルの圧倒的な景色を堪能することはできる。今回は初めてのモンゴルライドだったこともあり、やや効率の悪い動きをしてしまった。次回以降は限られた時間のなかでも、もう少しスムーズなライドができるだろう。

実際に泊まった、ブルドのゲル

拠点にしたのは、ウランバートル、マンダルゴビ、ブルドという街。当初の予定では、「サインシャンド」という街から首都ウランバートルまで、寝台列車で帰ってくる予定だった。

しかしどういう訳か、サインシャンドとは全くの逆方向であるブルドに2泊することになった。まあこれには、色々な理由があるんですわ・・・。「食中毒」になったり、「人との出逢い」があったりで。

事細かに説明すると中々のボリュームになってしまうため、ここでは割愛させていただく。それでは、11日間の濃密な想い出について振り返っていこう。

ガチガチに梱包して、いざ国際線輪行

国際線で輪行をするのは初めてだ。「現地に着いたら自転車が壊れてた」なんてことがあったらシャレにならないので、今回はかなり厳重に梱包した。国際線は手荒いイメージがあるからね。

上の写真は、関西空港構内にある「YOUR WRAP」というお店。輪行袋を段ボールで囲い、その上から頑丈なラップでガチガチに固定してくれる。お値段3,200円。安心を買うって考えたら安いんじゃないかろうか。

関西空港からチンギス・ハーン空港までのフライト時間は、わずか4時間40分だ。それであの絶景が楽しめるんだから、行かない手はない。しかもチケット代も比較的安い。

MIAT航空を利用した

そして、あれよあれよという間にウランバートルのホテルに到着。自転車は無事だった。心底ホッとしたぜ!

ホテル前の道。気合入ってる

首都ウランバートル

モンゴル国最大の都市がウランバートルである。四方を山に囲まれた盆地(標高1350m)に位置し、年間の平均気温は-0.7℃と低いことから、世界一寒い首都とも言われている。緑あふれる夏は7月と8月の約2か月間と短く、ときに-30℃にもなる冬は長く厳しい。

モンゴル総人口(約350万人)のおよそ半分が、このウランバートルに住んでいるというのだから驚きだ。日本の一極集中なんて、モンゴルに比べたらまだまだ可愛いもんである。

ウランバートルの街を歩いてみた感想としては、“雑多”。いい意味で汚いしゴミゴミしている。初日にして存分に異国情緒を味わうことができた。

バイクチェック

ここで、今回の旅の相棒を紹介しておく。

※これ以降の写真は時系列関係なし

SURLY(サーリー)のクロスチェック。

5年前に奈良の「TRANSIT」で組んでもらったあと、事故でフレームがぶっ壊れたから鹿児島の「ボルカニックサイクル」でフレームを組み換え、東京の「サイクルショップカルテ」で現在の姿にカスタムしてもらい、出発前に「TRANSIT」でオーバーホールしてきた。

そんな、様々なショップのエッセンスが凝縮された自慢のバイクなのだ。

ゲルに荷物を置かせてもらっているので、これがフルパッキングではない

RON’S BIKESのfabio’s chest largeというフロントバッグを新調した。いずれレビュー記事でも書こうと思うが、これはマジでいいバッグだ。なんせ積載量がエグい。

このバカでかいフロントバッグと、そこそこ大きいサドルバッグに、キャンプ道具や着替えをすべてぶち込んでいる。(ちなみに、一眼レフの収納場所はウエストバッグ

旅を終え、ガタが来ているパーツなどは特に無かった。やはりクロスチェックは良いバイクだ。(あと腕のたつメカニックのおかげ)

剥き出しの大地、ありのままの地球

日本の約4倍に及ぶ広大な国土を持ちながら、人口たったの350万人。世界で最も低い人口密度を誇るモンゴルは、国土のほとんどが手つかずの状態であり、“地球本来の姿”を存分に味わえる。

モンゴルは5つの地域に大別され、それぞれで自然環境がずいぶんと異なるのも特徴的だ。

西にはアルタイ山脈、東には広大な草原、南には乾燥した砂漠、北には緑豊かなタイガ、中央部には緩やかな丘陵地帯の草原を有し、バリエーション豊かな景観が我々を待ち受ける。

メモ:筆者は今回、中央部と南部を訪れた

自転車を漕ぎながら、涙が出そうになるのはこれが初めての経験だった。日本の“絶景”と名高いスポットはだいたい走ったことがある。「しまなみ海道」も「渋峠」も「阿蘇」も。

北海道でのキャンプライドも3度経験し、毎回約1,000kmを走破してきたが、そのいずれとも比肩しないほどの壮麗な景色に、ただただ圧倒された。

これほどまでに美しい国は他にあるんだろうか? あるとしたらすごいなあ。まあ、世界は広いからきっとあるんだろうなあ。

強く優しい、モンゴルの人々

モンゴルの人たちは口数が少なく、一見無愛想に見えるけど、奥底の部分はとても優しい。今回の旅では計5泊、遊牧民のゲルや街中のお宅に宿泊させてもらった。

見知らぬ異国人を家に招き入れ、そのうえで寝床も提供するなんて、日本人の感覚では中々考えられないことだと思う。

メモ:モンゴルは世界最高レベルの親日国。筆者がこの11日間で最も発した言葉は「ヤポン!(日本人だよ!)」かもしれない。なぜなら日本人というだけで、たいていの人が親切にしてくれるからだ。笑

遊牧民と生活を共にしていると、「筋肉見せて」や「相撲しよう」と頻繁に声をかけられる。モンゴルの人たち、特に男性は、なによりも“強さ”を重視することがコミュニケーションの節々から感じ取れた。

で、実際に相撲をとってみると、その強さには驚かされる。全く勝てないのだ。というのも、モンゴルの人々は皆フィジカルがデカい。肉を中心とした食生活が影響しているのだろう。

大量の家畜を管理し、過酷な自然環境を生き抜くには、肉体的な強さが不可欠である。そう考えると、強い人間が尊ばれるのは当然の価値観なのかもしれない。

メモ:たいていの遊牧民にはにモンゴル語しか通じない。一部、英語や日本語を話せる人もいた

ゲルでの生活

ゲルでの暮らしは思いのほか快適であった。異国の地で言葉も通じない人々に囲まれている割には、連日そこそこ深い眠りにつけた。

ゲルの内部は至ってシンプルで、家財道具は必要最低限しか置かれていない。3、4人であれば、1時間ほどで組み立てられるようだ。遊牧民は基本的に年4回、季節に応じて生活の拠点を移動(遊牧)する

筆者が今回訪れたゲルはいずれも「夏営地」に設置されたもの。9月中旬頃になると、小高い丘の中腹などの「秋営地」へと移動し、11月中旬頃には北風を避けて谷あいや山の南斜面などの「冬営地」にゲルを設置するのだという。

羊とヤギの殺処分・解体現場には二度遭遇した。20代そこそこの若者が手際よく解体をしていく。その躊躇の無さは、日本人が魚を捌く感覚に近いのだろうか。

多くの日本人が囚われている「年収」や「見栄」などとは無縁の世界がそこには広がっていた。物質的な豊かさで言えば、日本人の圧勝だろう。しかし、今回の旅で触れ合った遊牧民たちは、普段目にする日本人よりもずっと幸せそうに見えた。

遊牧民のご家族。こんなところに住んでたら、確かに悩むことなんて無さそうだよなあ

モンゴルの食事

たくさんのモンゴル料理を振る舞ってもらったが、ほとんどの料理が「羊肉」「小麦粉」「少量の野菜」という共通の材料から作られていた。そのため、正直に言えば、ほぼすべての料理が似たような味であった。笑

ボーズという料理。蒸餃子みたいな感じ
ホーショール。でかい揚げ餃子みたいな感じ

厳しい自然環境のなかで馬や家畜とともに生きてきたモンゴルでは、畑を耕す文化がない。

ゲルのストーブでボーズを蒸している
ボーズが完成!

そのため肉(羊肉)ばかり食べる。羊特有のにおいがなかなか強いため、合う合わないはあるだろう。モンゴルにきて羊肉が合わなかったら、それはもう絶望的だ。笑

羊と小麦粉のシンプルなうどん
ツォイワンという焼きうどん。これが一番好きかも
ボールツォグという手作り揚げパン

「解体したばかりのヤギの内臓」をシンプルに塩ゆでした料理(?)も食べさせてもらった。においが強烈ぅ! 子供たちは当然のようにこれをほおばり尽くしていた。たくましい。

内臓ちゃんこ鍋。この煮汁で作ったお粥も食べた
胃袋に血を流し込み、煮込んで凝固させた「血のソーセージ」

下の写真は、馬のミルクをかき混ぜて発酵させた「馬乳酒」だ。モンゴル語で「アイラグ」という。アルコール度数は2%ほどで、遊牧民たちはこのアイラグを水代わりにガバガバ飲んでいた。

なんか黒いのがめっちゃ浮いてるけど、見えてないことにした。旅の途中で死ぬほどお腹を壊したのは、多分これが原因
モンゴルはウォッカも有名。ゲームに負けて死ぬほど飲まされて死ぬほど吐いた

モンゴルの動物たち

遊牧民は動物たちと共に生きている。その関係は、日本での「犬」や「猫」とはまったく異なる。もちろん、彼らも動物たちに愛情を注ぐが、その関係は単なるペットではない。移動手段として「利用」することもあれば、時には命そのものをいただくことさえある。

なんとも言えない不思議な関係性だ。

これから解体するヤギを捕まえている様子
放牧って動物たち逃げないんやろか
上の女の子とは違う女の子。似たような構図だけど
子供たちも当然のように馬に乗る

自転車でモンゴルを走っていると、たくさんの動物たちと遭遇する。見かけた多さの順でいうと、馬>ヤギ・羊>牛>ラクダ だった。放牧されているのか、それとも野生なのか見分けはつかない。

あと馬鹿デカい鳥もめっちゃいた。(いま調べたら、イヌワシだったっぽい)

フリースタイル
ラクダと遭遇したときはめっちゃ感動した
ワンコもいるよ

モンゴルの街並み

モンゴルにはカラフルな色使いの建物が多い。社会主義時代の名残なんだろうか。

マンダルゴビという小さな街を散策してみた。中心地から少し離れると、スラムのような雰囲気が広がっている。観光地化された都市とは違い、こうした素朴な町は現地の「生」の暮らしが色濃く感じられるから、個人的には大好きだ。

街中に馬
街を抜ければもうそこは大草原
街中にもゲルがたくさん建っていてビックリ。草原にしか無いもんだと思ってた

まとめ

当初は1日ごとの日記形式でまとめるつもりだったんですけど、さすがに長くなり過ぎるのでハイライト形式でまとめてみました。(あと、今回はなんとなく「だ・である調」で書いてみました。笑)

本当に最高の旅だったなあ。モンゴルには毎年行きたいなあ。

自転車旅に限らず、やはり海外はいいですね。全身の細胞が刺激されるというか沸き立つ感じがして。

さて、この記事を読み終えて「モンゴルでチャリ漕ぎたい!」と思ってくださったなら、ぼくは全力で背中を押します。マジのマジでおすすめです。

ぼくが味わった感動を、ぜひ多くの人にも味わってもらいたい! だって本当に最高だったんだもの!!

なにか疑問な点があれば、ここからお気軽にお問い合わせを。全力でお答えします。


なんかよく分からんまとめになりましたが最後に一言、



やっぱ自転車は最高ですわ。


以上!!!

ここまで読んでいただき本当にありがとうございました。